『青学らしく勝つ』ということ

いよいよ今週末に迫ったクリスマスチャレンジカップ。

休みを挟み、またクルー変更して間もない期間とは言え、今季最後のレース機会になりますので、シーズンとは本当に早いものです。

レースにはレースでしか味わえないことがいくつもあります。もっとも大きな意味をもつのが、勝つか負けるかという結果です。

ボート競技を経験している方なら多くの方が、一着になることの難しさを知っていることでしょう。

今はそれぞれ主催者が独自に定めたレース体系があり、タイムで組み合わされた順位決定戦のように割と力が拮抗したレース組み合わせもあるので、一着を取れる機会はあるかもしれません。

ですが、競技経験者の中には一着を経験することなく、競技生活を終えた方も少なくないことでしょう。 

勝つということはただ一着になるという当たり前の概念だけでなく、それ以外の意味も持っています。

自分に勝つ、負けたくない相手に勝つ、はたまた大会で目標とする結果を指して勝つ、とすることがあるかもしれません。

勝つについてなぜ前置きするかと言えば、当部のコンセプトを今年、初めて明確にしたからです。

『青学らしく、カッコよく勝つ』

 これだけ見れば、冷ややかに笑う人が多くいるかもしれません。

でもこれは約10年にもなろうかという監督業で行き着いた果ての私の中での答えでもあります。

 だから今の部員らにはこのメッセージを掲げ、新しい合宿所には誰も望んでいないでしょうが、目に見えるよう掲示しています。

一つはっきりしていることは、目標や理念などのコンセプトの類いの方針はシンプルで、分かりやすくあるべきだということ。

だからと言って、、と思われるかもしれませんが、私の考えに迷いはありません。

うだうだ自身の思いを述べるよりこのコンセプトの中身だけ分解して解説します。(掲示用にはそこまで記載しています)

青学らしくとは『青学らしさの追求』

(青学のブランドイメージはオシャレに、且つアーティスティックに、個を尊重する)

カッコよくとは『カッコ良さの探求』

(カッコ良さは十人十色、他人に見せない陰の努力、肉体や技術の鍛錬など、自らの美学を極める)

勝つとは『勝利への欲求』

(並べた相手全てに競り勝ち、誰より先にゴールする。つまり一着至上主義であれ)

どう捉えるかは人それぞれ。

でもボート界で青学と誰が認知しているでしょうか。緑地に白十字のオールを見て、どこ?と言われるのが今の現状です。

10年近く指導していて、今まで何をしていたかと問われるかもしれません。でも行き着いた答えはこれだと自信を持って言えます。

昨年、本学出身で某部で指導をしていた一人の女性と知り合いました。彼女は大学のことも、世間からの目も、そして自らの立ち位置もよく知っている人でした。

数々のやり取りをして行く中で、なるほどなと思わされることが多くありました。

本人にとっては何気なく、発言したことでも、これだ、と思わせるような考え方というのは、同じ境遇、タイミング、環境など、受け手の中で何かしらの要素が噛み合ったときにこそ響いてくるもんなのだと改めて感じました。

だからこの出会いもこの時の自分には必然だったのだと今では思います。

この世には成功者の伝記をはじめ、体験談、啓発本などが溢れています。

一度手に取り、読めばすごいなと思う反面、立場が違えばピンとこないことも、どこか他人事のように見えてしまうことで、共感までに至りません。

でも彼女の言葉は、私自身の悩みやモヤモヤに突き刺さるほど、自らが改革して、変えてきたという自負と、己をよく知るからこその考えも持ち合わせており、そこから多くのヒントをもらいました。

本学は青学です。それはとてつもなく強いブランドと個性です。

これまでにこのブランドを築き上げてきた人たちが、数多くいますが、それ以上に多くの関係者が他人事になっていることでしょう。

でも私はこのブランドを今、背負っています。これを強みに変えていくことこそ今できることなのです。学生時代、現役時代、胸を張って青学と言えなかったことを悔いています。

でもだからこそ今は胸を張って言えます。青学であることを。

そして、これからの学生らには是非胸を張って引退、卒業をしてもらいたいと心に誓いました。

これは私の監督業における第3のフェーズなのですから。

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