受験シーズンが到来し、どこもかしこも最後の追い込みをかけようとする受験生の姿が目立つようになってきました。
人生の一大イベントともなる受験ですが、もちろんこれまでの努力が実り、合格を勝ち取る人もいれば、残念ながらその努力が報われずに不合格となる人もいます。
これはスポーツの世界でも同じであり、当然のことながら勝者もいれば敗者もいます。むしろスポーツの世界では敗北や失敗がつきものです。
これが挫折になるかは捉え方ひとつです。
「失敗と書いて成長と読む」
故・野村克也氏の名言の一つですが、これは単に失敗を受け入れろということではなく、失敗を次の成功への第一歩として捉え、学びと成長に変えることの重要性を意味しています。
世の受験生、そしてこれから挑戦をしようという方も含めて、失敗を恐れず突き進んでほしいなと思います。
さて、ボート部の方はと言えば、こちらも3年生はいよいよ就職活動も間近に迫り、この春からはきっと大忙しとなることでしょう。
そんな春の時期に向けて、ボート部としてもまた昨年までとは違った新たな取り組みをしようと計画しています。
先日、久々に神楽坂に行き、フィジカルトレーニングに参加してきました。
年が明けて新しいメニューに変わったのもありますが、ブランクのあった自分だからというわけではなく、部員らもヒーヒー言いながら体造りをまたはじめています。
このトレーニングについてもこれまでは基本的に毎週水曜日のルーティンで行ってきましたが、フィジカル強化の一環として、春の集中練習期間においては週2回の実施をお願いしています。
こうした背景にあるのは、今年は特に練習の質だけでなく、総量を増やすことをまず取り組むことを考えているからです。
ですから、限られた日程の中でも通常行っていた2モーションから、この春は3モーションを取り入れ、全体のモーション数すら増やすつもりで考えています。
この発言に部員らもさすがに恐れをなす様子がうかがえますが、今のメンバーであればこうした苦境をも乗り越えてくれるだろうと期待もしています。
これまでの我々の取り組みは決して間違っていたわけではないですが、ここよりさらに上のステージへ行くためには、やはり今を根本的に変えていくしかないのです。
そしてそれはただただ量を増やすだけでなく、そこには内容という質に加え、モチベーションを保つための一工夫も必要だと思っています。
単にやらされる練習ではなく、やるからには『価値ある練習』に変えていくためにも、他が行わないような方法で行うことも教えていくつもりです。
それはごくごくあるボート界の日常の当たり前から、より『青学らしさを追求』していこうという発想でもあるのです。
そういう意味では年明けから、少しずつまた私の監督としての野望もまた膨れ上がってきています。
そんな気持ちの表れもあってか、日曜日の練習では負傷した淡路に代わり、クォドのストロークとして白川、飯尾、そしてゼイナちゃんの四人で乗艇をしました。
そのクルーを見た知人から「多様性ですね」、なんて動画とコメントが送られてきましたが、老若男女問わず、国籍すら問わない我がボート部の練習は少し注目されていたようです。
この日、重点的に教えたのはクイックセットによるリズムの取り方です。
こればかりは口で言うより実際に目で見せるほうが早いというのもあって、私がストロークを買って出たわけですが、少しは学びにつながったでしょうか。
今の練習の基本にSレート16でのUTに多くの時間を費やしていますが、このSレート16も実は奥が深いもので、リズムの取り方ひとつをとっても、人によってまったく異なります。
自由度のあるリズムが生み出せるのもこの低レートの特徴ですが、これがレースレートになった途端に悪影響となることが、近年の当部では頻繁にみられました。
ですから今後、レースレートの正しい作り方を教えるためにも、この基礎となる低レートでこそ、あるべき姿を身につけさせたいという思いもあります。
そして、乗艇中も無言でただただ周回するより、一本(ここでいう一本はコース片道分)の中で、次はここを意識するという風にあえて一つだけの課題を伝えて、完成させていくことを目指し、取り組んでもらいました。
・突き出しを早くセットポジションを意識的に出していく
・セットポジションでハンドル高さを決めて固定する
・フォワードを加速させず、キャッチ前にかけてこそリラックスを作る
・キャッチはシートトップポジションで自らの意思でエントリーする
・エントリー前に間を作り、入水後に水の感触、固定感を意識する
反転時に私が伝えた大体の内容はこんな感じにです。
もちろん指導者によって賛否はあると思いますが、私自身の正しい順序はこうです。
そしてこれは口で表現したり、陸で見て伝えるより、実際に一緒に乗るからこそ、手に取るように伝わり、実践しているかも乗った感覚でチェックができるものなのです。
もちろん言われてすぐに実践というのは、今までの個人のリズムもあって難しいかもしれませんが、こうしたことを伝える中で自分なりの正解を見つけてほしいとも思っています。
そして、周回中の中でも、艇速が落ちれば足蹴りのイベントを入れて、水中強度を落とさせないよう監督自ら鼓舞するというのもどこにもない青学らしさの光景として映ったことでしょう。
トレーニングと言い、乗艇と言い、先週は久々に体を痛めつける取り組みになりましたが、こうして私も一緒に歩んでいくことがやはり幸せだとも感じています。
まもなく45歳を迎えるわけですが、生涯現役を貫くつもりで、これからも率先垂範していこうと思います。
そう、これこそが私自身の失敗から学んだ教訓であり、皆の成長のためにできることなのですから。
コメント