9月に入り、夏休みを終えた制服姿の学生が目につくほど増えました。こうなると電車は途端に人が多くなり、これぞ日常と言わんばかりの通勤で現実に戻った気がする、そんな朝でした。
それでも今朝は秋雨前線?温帯低気圧?の影響もあってか、朝から雨が降り、気温もいつもよりは涼しめでした。
いよいよ今週に迫ったインカレ開催。部員らは今日、明日の調整を経て、いよいよ水曜から熱き戦いを繰り広げてくれることでしょう。
インカレ前の最後の週末となったこの土日。
春、夏と短期集中練習においては金曜日オフを通例としてきましたが、そこに加えてこの土曜日にもオフを入れました。
この夏に溜まった疲労はやはりどこかで影響するのでは、そんな心配もありつつ、また気分転換という意味も込めて、あえてここで二日間のオフを取ることに決めたのです。
おかげさまで私自身も仕事も休み、そして部活も休みという年に数回ほどしかないたまの休日を一人で堪能することができました。
そもそもこの週末、当初の予定では北の大地に飛び立つ予定をしておったのですが、ちょっとしたアクシデントもあって、予定を急遽キャンセルとしたのが先週の出来事でもありました。
そのせいもあって日曜のエルゴ測定には参加することができてしまいましたが(苦笑)、おかげでこの夏の成果を生で見届けることにもつながったのです。
そう、この日はインカレ前、夏の総決算でもあるエルゴトライアルを実施しました。
部員が増えて以降、なるべく複数名の前後半組で行っていた測定でしたが、今回ばかりは敢えて一人ずつという指示を出しました。
これは一人に対して全員でゲキを飛ばすことはもちろん、記録という勝負から逃げられない精神状態を更に作ること、そして何より他の部員らがどれほどのペースで行うか見るなど、互いに刺激を与えることが目的にもありました。
その1番手を買って出たのは淡路でした。
前回もたった一人レコード記録を更新し、今回はそれ以上が期待できたわけですが、前半から猛烈なペースを刻み、1000m通過時点で目標タイムを裕に上回る貯金を作りました。
当然そこからは自分との苦しい戦いを強いられるわけですが、彼の持ち味である忍耐力で耐えに耐え、今回もレコードを4秒ほど更新する記録を達成してみせたのです。
これは私が知る限り、当部で過去2番目の記録だと思います。
この激漕、かつ苦しみに耐える姿を目の当たりにした他の部員らはどう受け止めたか。次漕以降、それが顕著に表れたのですから、やはりこうした一人ずつの実施というのが功を奏したのかもしれません。
また、この日は当部のエルゴ測定に応援見学を兼ねて他大学の学生も訪れていましたので、それもきっと影響があったことでしょう。
二番手となったのは主将の鈴木です。
こちらも先週末のレース展開から自信を胸に、記録達成が大いに期待されていたのですが、スタート前から緊張した面持ちがすべてを物語っていました。
課題としている前半、そして先ほどの淡路のペースを見たせいか、いつも以上にオーバーペースとなったことが仇となりました。
残り1000m時点で記録更新からは程遠い、こなすだけの測定となってしまい、自身の悪いところがすべて出てしまったという後の本人のコメントがすべてを物語ってもいたのです。
メンタル面の課題もありますが、本来の彼の力はこんなものではなく、当然このまま終わるわけにはいかず、翌日の追試をそっと言い渡しました。
エルゴ2000mの漕ぎ方は人によってまったく異なる方法(展開)で行います。
鈴木に関しては自分の良さを出すことが今もっとも必要であり、それに気づくことがこの追試の意味でもあるのですから今日の結果を静かに待とうと思います。
そして三番手はこれが最後の測定となる鏑木です。
しばらく記録更新から遠ざかり、実力を出し切れないで終わることが続いてきたため、本人にもそれなりのプレッシャーはあったことでしょう。
ましてや先ほどの淡路の記録を見せつけられ最上級生としての維持、そしてこの4年間の思いをぶつける舞台が整ったのですから、逆に言えば出ない理由もありませんでした。
淡路、鈴木とは対照的に前半から終始、自分のラップを刻み、1000m通過時点でも全く落ちる気配を感じませんでした。
これは過去に目標記録を達成した時、そう、鏑木のもっとも得意な展開でもあったので、記録更新は間違いないと確信しました。
残り500m、さすがに苦しくなったのか、苦痛の表情を浮かべますが、これが最後だと力を振り絞って見事レコードを6秒ほど更新したのです。
最後の最後にこのエルゴスランプを脱した本人には安堵の表情すら見て取れましたが、インカレ前にこのタイムを叩き出したことがきっとレースへの自信にもつながるでしょう。
そして4番手となった一年生の上野はこれまでの測定でも過去記録を大幅に更新していく快漕を見せており、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでありました。
この日もこの勢いに続けと言わんばかりの力強さで周りの度肝を抜きました。
一見窮屈そうな漕ぎで力を出し切れていないように映りながらも彼の持っているポテンシャルなのでしょうか、終わってみればインカレ基準タイムには残り1秒足りずに終わりましたが、10月に行われる全日本新人選手権の基準はクリアしたことからこれからの選択肢も広がったのです。
最後に行ったもう一人の一年生の飯尾は今回が初の2000m。
まだまだ漕ぎが固まらず、出力を出し切れない中でしたが、最後まで完漕することができました。もちろん本人もこの苦しさを知ったことで、これが次にどう生きてくるか、ここからが重要にもなります。
思い起こせば鏑木も入部当時、先輩らに見届けてもらった記録はなんとか8分切りをできた程度のものでした。
それが3年後にここまで飛躍したのですから、本人の努力次第でどこまでも変われる、そう実感もしたのです。
さて、そんなわけでインカレに向けて弾みを付けるエルゴ測定を無事に終えることができました。
想いは様々ではありますが、結果がすべての世界であれば、この行動をどう次につなげていくしか他なりません。
それでも部全体としてはまさに絶頂期というくらいのスコアを全員が記録してくれています。
特にダブルスカルの二人はこの記録を引っ提げて、レースに挑むわけですからこれまで以上の自信となるのは間違いありません。
私の現役時代以降、少数の部員体制がある意味定着していた本学では対抗種目をダブルスカルに置くことがこれまで多くありました。
そこからずっと見てきた中で、青学史上最強のエルゴスコアをもってインカレに挑むわけですから、これでどこまで戦えるのか、固唾をのんで見守りたいと思います。
そしてもちろん、皆さまのご支援を受けて購入できた新たなダブルスカル艇もきっと追い風となってくれることでしょう。
本艇の寄付に際して8月中の寄付募集を行い、集まった総額は732,000円。
結果、艇の購入金額には及びませんでしたが、当初目標としていた300,000円を大幅に上回ることができたのですから感謝の気持ちでいっぱいです。
こうした皆さまの思いを受けて、彼らもきっと期待に応えてくれる、そう信じています。
平日開催となるインカレに直接現地に足を運ぶのは難しいかとは思いますが、レースVTR、またHP上の記録などから多くの方に見ていただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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