終わりよければすべて良し

前日の東日本タイムトライアルを終え、意気揚々と迎えた日曜日の東日本夏季競漕。

この日も雷雨予報がチラつきながらも晴天に恵まれ、午前中は終始良好なコースコンディションでした。

全体的に出漕数も少ないためシングルの鈴木、ダブルスカルの鏑木、淡路のインカレクルーも決勝進出は最低限、上位入賞を果たすことが使命でもありました。

それは当日の選手らの表情から見ても余裕にすら感じられ、何ら心配はいりませんでした。

ところが蓋を開けてみると予選でまさかの苦戦を強いられ、ともに順当に決勝へ上がれる結果とはならなかったのです。

シングルの鈴木に至っては2位以上が条件ながら収支安定したペースで運んでしまい、これは前日の2000mで課題としたところでしたが、その守りの姿勢が結果、他2艇にまんまと逃げ切りを許すかたちになってしまいました。

ダブルの二人についても若干の逆風に見舞われたと言えど、社会人クルーにスタートでアッサリと先行されるとその差を埋めることができず、自分たちでも不可解と言える敗戦にレース後の表情は前日とは一変して、まるでお通夜となってしまったのです。

それでも少艇数であったことから無事にタイムで拾われ、進んだ決勝で挽回するチャンスを与えられたましたが、内心は冷や冷やしたことでしょう。

それもあってレース後に2クルーには気持ちで攻めていくこと、先手を取らねば1000mでの逆転は不可能であることを改めて忠告もしました。

まさに勝ち負けにこだわるレースをすること、それこそがこの大会での本来の目的でもあり、意味でもあったからです。

いいレースをした、と終えて納得するのは勝敗のつかない前日のようなレースだけであり、やはりレースで相手と並べる以上は勝ってナンボ、負けは負けでしかないのですから。

そういえば、高校時代は指導者に相手と並んだら『親の仇じゃ思え!』とハッパをかけられましたが笑、時代とは逆行しているのでそれを言うのは控えました。

そんなこんなで午後からの決勝に挑んだわけです。

鈴木については自身でもその自覚があったようで、迎えた決勝レースで真骨頂を見せてくれました。並みいる社会人に混じって、スタートから飛び出し、その後も終始二番手争いを繰り広げる展開。

このレース展開はきついながらも相手と競ることで、持っている力を最大限発揮できます。当然意識もそちらにいくため、きついようでも我慢ができる、そんな心境だったのではないでしょうか。

そして、残り250m付近で単独の三番手となり、気が抜けたのか、前半の疲れが出て艇速が落ちながらもなんとか最後まで3位を死守してフィニッシュ。

個人種目で初の表彰を自力で獲得したのですから、これは大いに褒めてやりたいと思います。そして勝負すべきところで勝負にでた、これこそがこれからに繋がってくるものなのです。

一時は精神面の課題など、脆さを露呈することもありましたが、この相手に、この展開で3位入賞を果たしたのですから、本人にとっても大きな自信となったことは間違いないでしょう。

一方、優勝を!と送り出したダブルの鏑木、淡路については予選を終えての迷いが最後まで抜けずに出艇し、本番の決勝レースに挑みました(自分にはそう感じました)。

課題は明白で、そのために今すべきことにも迷いが大いにあったのでしょう。

どうするべきかの問いに私自身もどこまでを伝えるべきか、これは正直悩みました。

ただ、この1戦を勝負に行くこと、それを最優先し、すべては気持ちで攻めること、何より優勝を狙うことで後悔のないように、と送り出すことしかできませんでした。

これは細かなこと言っても結果、それがこうしておけばという理由になるのであれば、今は今持てる精一杯の力で戦うしかないと悟ったこともあります。

練習で出来ていないことが本番でできるわけもなく、それでも前日のレースや普段の様子から見ていてもそれだけで十分に戦える、そう手応えはあったのですから、ここでの迷い、悩みを必要以上に考えることが無用というのが一番でした。

レースでは想定通りの逆風の中、前半から社会人クルーに食らいつき、500m通過時点では因縁の成城大学を相手に横一線の展開でした。

ここからは自力が勝ると言わんばかり、一漕ぎごとにトップが入れ替わる激しい攻防でしたが、ラスト250m付近で半艇身ほど出られた後にアクシデントが発生し、ここで単独3位に躍り出ます。

そのリードをなんとか最後まで粘り続け、こちらもシングル同様に堂々の3位でフィニッシュ。

鏑木にとっては東日本級レースでの初優勝とはなりませんでしたが、淡路にとっては入部以来、初の入賞という結果を成し遂げてくれました。

レース後の二人の表情は最低限の入賞を果たした安堵と、同時に悔しさをにじませていましたが、こちらも勝負に行っての激戦を制したわけですから大いに胸を張ってほしいところです。

そして、二日間でまったく異質のレースを体験し、その中で勝負事を決める舞台での経験、またインカレまでの課題も明確になり、残り期間でやるべきことも定まったのですから大いに収穫があったのだと思います。

何より今回、両クルーとも上位の2艇はいずれも社会人クルーですから学生代表として肉薄したことは大学で競技を始めた者として大いに自信をもっていいことなのです。

そして、この経験を糧に、ここからどうつなげていくか、まだまだ改善の余地もあるわけですから。

また、今大会には当部から他に2クルーが参加しました。

一つは新人の一人、上野のデビュー戦となったもう1艇のダブルスカルです。こちらは吉澤の復帰戦を兼ねてでもあり、レースを体験するという当初の目的を大いに果たしてくれました。

慌てず、焦らず漕ぎ切ることが目標だったため終始、落ち着いたリズムは一見レースとは程遠いように見受けられたかもしれませんが、この経験を生かして両者ともにきっと次につながるものだと実感しました。

来月には東日本新人戦、スカル選手権と出漕を予定しているので、そこではまた違ったレースを見せてくれることでしょう。

また、TAを中心に新人男子の上野、飯尾で混成されたナックルフォア。

こちらは混成クルーということで、相手がいなかったものの見事に優勝を果たし、ペースを落とすことなく最後まで1000mを漕ぎ切ったわけですから称賛に値します。

最終レース終了後には全員で大会本部に赴き、3種目でこの日の結果となった表彰状を受け取りました。

その表情は皆、晴れやかそのものであり、終わりよければすべて良し!まさにそんな一日だったのです。

表彰後には応援に来てくれた父兄らも交えて撮影した写真を見返しても、それはそれは華々しく、この姿は青学時代の到来を予感させるものかな?なんて嬉しさがこみ上げてもきました。

今はこうした部の成長、部員らの頑張り、そして大勢に祝福され、サポートされることを一人でも多くの人に伝えていきたい、そんな気分でもありました。

このボート部は今の世代でリスタートして、丸4年が経過しようとしていますが、これまで以上の盛り上がりと、戦績を引っ提げて、再度インカレに一丸となって今、挑もうとしています。

過去にも何度と期待をしながらも、跳ね返されてきた分厚くて、高い壁です。

それでも今年こその思いで挑む日がいよいよ間近に迫ってきているのです。

と同時に、ここまできたらまずは無事に当日を迎えたい、そんな思いもありますが、力の限り戦った末に、どこまでいけるのか、監督してではなく、一ファン、一OBとしても楽しみにしたいと思います。

今回、二日間の激闘を感想まじりのレポートとして書かせてもらいました。

残り期間、さまざまな角度からまた思いを綴っていくつもりですので、乞うご期待ください。

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