あいにくの週末の雨で、せっかくのお花見を計画していた人にとっては台無しの週末となったのではないでしょうか。
ボート界では、レース名もまさにお花見レガッタという名の通り、コース沿いに咲く桜は満開に近かったものの、期待に反してのこの気温と雨はとても残念でした。
両日を通して降り続く雨で出場した選手らにとっても過酷な開幕戦となったのは言うまでもありません。
我々、青山学院大学ボート部としても迎えたレース初日、週中より体調を崩していた淡路がアップを終えた時点で出漕が難しいと判断に至り、やむを得ず棄権という選択をとることになりました。
とは言え、翌日にはダブルエントリーしたクォドが控えているので、まずはそこに四人揃って出漕できるように一刻も早く体調を戻してもらう必要もありましたので、その判断を信じることにしました。
よって、初日はキャプテン鏑木のシングルのみのレースとなったわけですが、こちらもあまり早くからコースアップするのもどうかと思い、レース40分前に出艇。
すると今度はレーンプレートがつかないというアクシデントに見舞われ、コースアップに着いたのは、レース15分前を切っていました。
到着してなんとか2周は周回できましたが、慌ててのスタートにさすがに体が動くのかと心配もしましたが、いつも通りの彼なりのレース運びは昨季と変わらず、そこは見ているこちらも安心しました。
予選で対戦したM大のスカラーは最終日の決勝でも3位入賞を果たすほどの実力者だったわけで、このレースでも大きく水をあけられはしましたが、フィジカル面の強化による出力なんかは陸から見ていても伝わってくるものでした。
昨年、彼にとってシングルでのデビュー戦となった同大会では見事に準決勝進出を果たし、今年もと期待されましたが、今回は惜しくもあと一歩のところでタイム落ちし、順位決定Dへ回ることとなりました。
ただ並みいる強豪がそろい、かつ、地方からの参戦もあって出漕数も多いため去年とは全体レベルも違ったのかもしれません。
ですから私自身はこの結果に悲観はしていませんでした。むしろこの雨でシングルで3本、クォドでプラス1本を漕ぐことの方を心配したのも事実です。
余裕を持ってクォド種目に注ぎ込めるという意味では初日の午後を休息に充てられたのもかえって良かったのだとプラスに思うことにしたのです。
そして迎えた翌日の順位決定戦はDクラスとは言え、名だたる社会人、大学名が並ぶ組み合わせに驚きましたが、スタートして彼なりのレースぶりを見るとまったくそれを心配することもありませんでした。
スタートからほぼ横一線で並び最後まで食らいついて漕ぎ切る姿にこういうレースを経験したこともきっと先々につながるのだろうと確信したものです。
当の本人も途中、足蹴りを入れるなど、レース展開を自ら変えようとアクションを起こしたようですから、きっと自分なりに描いたレースもできたのでしょう。
何より今までより高いレートを維持できたのも春の成果、そして自らの成長と感じ取っていたようで、引き上げてきた表情は晴れやかそのものだったわけです。
そして迎えた二日目の午後。いよいよ青山学院大学ボート部にとって久々のクォド種目での出漕となりました。
心配された淡路も当日は回復しており、4人揃って出漕に漕ぎつけることができました。
レース前、珍しく出漕する4人に集合をかけました。
監督として?言いたいことはいつもありますが、あまり口を出さず自らの思うがままでいいと思っていますが、この日だけはあえて伝えることにしたのです。
それは今後を考えても鏑木にとって最初で最後のクォドになるかもしれない、だからこそレースを楽しみ、今の4人で挑むことをそれぞれに考えてほしかったからでした。
それが災いしたのか、他の選手にはちょっとしたプレッシャーになったのかもしれません。
出艇前にちょっとしたアクシデントもありましたが、皆は平然としていたので、それも今のチームの良さ、強さなのだなと改めて感心したものです。
そして、レース前には全員が一切の不安を見せず、楽しそうにスタート前を過ごしている光景は見ているこちらも少しばかり嬉しい気持ちになったものです。
レースは予想していた指定席の4着という結果で、途中、腹切るアクシデントがあったもののクォドならではのスピード感を体感し、レースを終えた後も悔しさというより楽しさを感じた一戦だったのを選手全員からコメントを通して伝わってきました。
思えば2年前、鏑木と二人で再スタートしたこの部です。鏑木のデビュー戦としてダブルで共に出漕する予定が、それこそ当週に私が体調を崩してしまい、棄権をさせてしまいました。
あの時ほど自己の体調管理を悔いたことはありません。
秋から二人三脚でずっと一緒にやってきて、ようやくレースに出られる、そう思っていた頃の棄権です。あの当時は将来、こうしてクォド種目で出漕することなど夢にも思いませんでした。
でもそれが実現しました。
それだけでやはり私自身はこみ上げてくるものがありましたし、レース後のミーティングでもクォドメンバーはもちろんのこと、見ていたTAからもクォドに興奮したことを直に伝えてくれたのですから、まさにチームが一つになれた出来事だったのかもしれません。
ボートは究極のチームスポーツだと言われます。その所以はエイト種目にあるのかもしれませんが、やはりチーム競技はいいものだなと改めて感じました。
自身が現役時代、シングルスカルかダブルスカルでしか出漕することはできませんでした。これは慢性的な部員不足もありますが、自らが招いたことだとも思っています。
ですから部員を増やして、こうしてチームとして活動し、出漕していくこともこれからの一つの目標になることでしょう。
過去の歴史を振り返ってみるとエイトが当たり前の時代もありました。こうした時代を過ごしてきた人たちはボート部や仲間への思いが一層強いのを感じます。
我々が目指すべき道は個の成長や結果のみならず、チームとしてどうあるべきかということを追及していくこともまた必要なのでしょう。
さぁ、今季はまだ始まったばかりです。
来週よりいよいよ新入生を迎え入れます。TAはじめ皆がその準備をしてくれており、安心して見ていられるのも本当に心強いかぎりです。
ここから青山学院大学ボート部の伝説がはじまったのだと先々に言えることを期待しながら、新しい年度を迎えたいと思っています。
尚、当日は足元の悪い中、保護者の方々、また多くのOBが応援に駆けつけてくれましたこと、改めて御礼申し上げます。
どうぞ引き続きご声援のほど、宜しくお願い致します。
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