国スポ選考会観戦記in相模湖

先週末、懐かしの思い出の地に行ってまいりました。

と言ってもプライベートの旅行ではなく、これも監督業の一つとしてです。

そう、先週末は2024年の佐賀国スポ(今は国体とは言わないらしい)の神奈川県選考会に出漕する淡路のサポートとして土日に神奈川県相模原市にある相模湖漕艇場に行ってきたのです。
*ちなみに古い人間なので現代の国スポではなく国体という表現をあえて使用します。

懐かしの思い出の地というのは高校現役最後のレースはこの地で終えたからです。

当時はまだ縁も所縁もない場所で、神奈川国体の開催地であったため、この地でボートを漕ぎ、オールを一旦は置きました。

一旦というのは大学で競技を続けることを考えていなかったからです。

それがいつしか、本学に入学し、実は現役時代にもここに何度か訪れています。

そして監督に就任してからもまだ駆け出しだった頃は地方の大会を求めて、部員らとよく訪れてもいました。

ここしばらくは縁もなかったわけですが、今年は淡路にこの選考会に出てみないかと投げかけ、またこの地に舞い戻り、今は教え子がこの地で漕いでいるという不思議さです。

国体で言えば、私は他に埼玉県、岡山県の開催年に出場しています。すべて所縁の地ですし、単純計算でも47年に一度しかないと考えると奇跡的なめぐり合わせですね。

ちなみにこの神奈川がなぜ所縁の地かと言うと当部は神奈川県ボート協会に所属する団体だからです。(これは実はあまり知られていません)

こうなった経緯はともかく、私がボート人生で所縁のある地での出場を狙った『国体』というものは、やはりその地域のお祭り的なムードもあることから、機会があればチャレンジしてほしい、いつもそう思っていました。

ですから今年、数年ぶりに当部から選考会へチャレンジし、結果、代表に残ることはできませんでしたが、この経験は必ずや未来に生きてくる。そう思えるものでありました。

今回はその週末の観戦記について少し振り返ってみます。

まず土曜日には前日練習が行われました。ご存じない方がいるかもしれませんので説明しておくと国体は基本配艇です。

配艇とは皆が同じ規格の艇を決まった時間配分で割り当てられ、レースに挑むというものです。

時間は大抵90分。受付と同時に艇が告げられ、そこからリギングを開始し、アップを済ませ、レースのスタート位置に付けるまでの時間が90分というものです。

慣れていればこのスケジュールに何ら違和感はないでしょう。特に高校生は都道府県大会を除いては大方これですので、当たり前な方式だと当時は思っていました。

ですが、逆に大学からボート競技を始めると基本は自艇(配艇と真逆の意味)。

つまり自身の艇で出場するので、普段の練習で使用している分、特にリギングなど不要なスタイルに慣れているので、配艇には戸惑うことでしょう。

当然、淡路にも初の体験となったので、そこはリギング含めてフルサポートが必要でした。ちょっとした親心的なものも含まれていたのでしょうけど、やはり皆よりはまだリギングにも精通しています。

ですが、そんな私でもこの日のリギングには60分以上を要しました。恐らくリギングマスターのような人はその順序まで予め決めていて短時間でできるのでしょうけど。

これがレース当日にあるとなるとレースアップ時間は30分とありませんので、困ったなと思っていたところ翌日のレースでも同様の艇を使用できると聞き安心したものです。

そして、一通りリギングを終えて試乗してみたところあまり違和感もなかったようで、一度陸に上げて若干の変更をしてから再度の練習となりました。

こうした微調整もあることを考えると実際の配艇の中では本当にタイトなスケジュールになるでしょうし、来年、彼が国体本選に出場するようなら予め予定を空けておかないといけないことでしょう。(もちろんその時はまず結城コーチに打診してみますが笑)

相模湖は比較的大きな湖です。この湖の中にレースで使用するコースとして1000mのコースが引かれています。

これも戸田に慣れてしまっている部員らには全く違う景色に映ることでしょう。

大きな湖の中で真っすぐ漕ぐにも平衡感覚が失われるので、ブイの間隔だけが頼りで、スタートからゴールまでの目印も500m地点しかありません。

実際に淡路もそれに戸惑ったようで、選考会レースの1本目では何もできないまま余力を残してあっという間に終わってしまった、そんな感想がすべてを物語ってもいましたので。

そしてこのコ―スの特徴はそれだけではありません。

遊覧船や手漕ぎ、足漕ぎボートが同じ湖内だけでなく、コースにも入れてしまうのです笑

実際にこの日の練習を近くで見ようと免許不要のモーターボートを借りてコース近くまで行き、淡路の練習を見ることができたのですが、係員にどこまで行っていいのか確認したところ「水のあるところならどこでも」とのことでした。

ですから、他にも遊覧船がレースや練習にお構いなしに通過するので少なからずその影響もあります。

とは言え、周りが山に囲まれた湖とあって、比較的涼しく穏やかで、風が吹いても戸田のように波を立てて流されるというよりは、たまに吹く風に煽られるような感覚でしょうかね。

全国各地で行われるボート競技はこうした湖もあれば川もあり、むしろ戸田のような人工的なコースの方が稀なわけですから、色々な場所で漕ぐこともいい経験になるのだと思います。

そして迎えた翌日。選考会の方式は勝ち上がりではなく、1000mのタイムトライアルを30分の間隔で二本行うというものでした。

幸い出漕してきた人数が6レーンに収まる人数だったからの方式とは思いますが、短時間で1000mの距離をMAXで漕ぐので意外とこれはきついものです。

淡路自身、それを分かってはいながらも先に述べたように1本目はスタートと同時に置いて行かれるほど、ペースも分からず、あれよあれよでゴールとなってしまったようです。

当然余力も残してとなったので、2本目は最初から全力で挑んだわけですが、それでも強敵揃いのここでは現状力が及ばず県の代表にはなれませんでした。

それでも挑むと決めたときからここにチャレンジすることの意味を伝えてきたつもりで、当の本人もそれを改めてレース後に実感してもいました。

戸田以外でのコース環境、配艇による規格艇、タイムトライアル式の選考方法、そしてなにより国体に出るための高い壁と現在の実力。

言わずもがな本人が感じたものはあるでしょうし、そのために必要なことも明確になりました。

我々が目指す全日本級の大会は2000mのレースで、練習方法も異なるものかもしれません。

それでも2000mで速い者は1000mでも当然速いのです。

経験値は代表となった3人には当然劣ります。でもこれは決して縮まらない差ではありません。

インカレ、そして全日本で結果を残すつもりであればこうした相手にも食らい付いていかなければならないのです。

そしてこうした取り組み、経験は他の部員らにも是非体験させてやりたいと改めて感じました。

戸田がボートの聖地でありながら、戸田だけがボートの世界ではない。そういうことを肌で感じ、新しいボートの世界観を知ってほしい、そう思うのです。

そんな中、昨夜、結城コーチから城崎に来ないかとのオファーをいただきました。

あいにく日程的な問題から今回の提案は断念したわけですが、城崎もまた日本屈指のコースですから一度は皆に体験してほしいと思います。

これは現役生活を終えても、機会があれば地方のボートコースで優雅に漕いでみたりすることは今のように苦しいだけの競技でないことを知る機会にもなるはずです。

大学時代だけのボートとの関わりでなく、ボート競技を世に広める、自ら楽しむ、そんな風に一人でも多くの部員、卒業生が感じてくれることを願っております。

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