いよいよ第50回記念の全日本大学ローイング選手権大会が幕を開けました。
予選が行われる本日、晴天にも恵まれ、コースには若干の逆風があるものの比較的漕ぎやすいコンディションで迎えることができました。
当部からはシングルスカルの鈴木(3年)、またダブルスカルでは今大会が引退レースとなる鏑木(4年)と淡路(2年)がこの日、予選に挑みました。
お決まりの予選A組で、かつ、高確率で引き当てる1レーンに入った鈴木でしたが、抽選結果と言えど、ここに入るのかと嘆きに変わるような面々に囲まれたせいもあって、当日の表情はかえってスッキリしたもので、安心もしたものです。
鈴木は先日のエルゴ測定においてその場の雰囲気にのまれてしまい、ベストとは程遠い記録しか出すことができませんでしたが、翌日命じた追試において見事にレコードを記録したのです。
彼には彼の持ち味があり、それを発揮するだけで好記録も期待できたわけですが、気持ちの持っていき方というか、ナーバスになり過ぎたり、オーバーペースが時に思わぬゾーンに入ってしまいます。
幸いシングルスカルだからこそ、こうした状況にも冷静に対応し、今はこの種目で挑むほうが本人にとってもベストな選択でもあるのでしょう。
レースでは不安視されたスタートを決め、前半から果敢に上位に喰らい付いていく漕ぎは、鈴木本来の良さである伸び伸びとしたストロークそのものでもあり、インカレ初出漕ながら随分と落ち着いたレース運びにも見えました。
ただ、相手だけが悪かった、そう思えるくらいに1000m手前では先を行く決勝に進出するであろう上位陣に審判艇が近づいたことで、ここからはその返し波との戦いになりました。
途中、明らかな波を喰らいながらも気持ちを切らすことなく、ラスト500mではまた自分の漕ぎを取り戻し、最後まで安定した漕ぎを見せてくれフィニッシュしました。
全体タイムは下位となっていますが、今日の結果が本来の実力ではないため、明日の敗者復活戦において真骨頂を見せてくれると期待したいと思います。
またこちらも優勝候補筆頭のクルーと予選から激突したダブルスカル。
二人して余裕すら感じられ、晴れやかに出艇して行ったのを見てひとまず安心をしました。
こちらも今日の結果に関わらず、まずは今日の予選時点でどれほどの位置に付けられるのか、二人はこのインカレで通用するのか、そんな未知な状況を測りたい、それが内心でもありました。
スタート前にも心配された気負いはまったくと言っていいほどなく、どんなレースをしてくれるかと発艇を楽しみに待ち侘びていましたが、スタートして我々の前を通り過ぎる頃にはすべての艇に出られているまさかの展開に目を疑いました。
500m通過時点でもいいところなく最下位と、ここではまだうちにとってインカレの壁は高いのか?と疑問に思い不安になったのが正直なところ。
ですが彼らの漕ぎをよくよく見ると本来のレートがそこにはなく、漕ぎも変にコンパクトにまとまっているので、どうしたものかという違和感だけを覚えました。
それでも1000m付近でようやくスイッチが入り、4位艇、3位艇を順に捉え、そこからは本来の漕ぎを取り戻すわけですから、控えめなスタート、レートが完全に仇となっていたのでしょう。
漕ぎながら自分たちで修正を続け、ラスト500mからは早々にスパートをかけ、ここからの伸びは特に圧巻でした。
2位艇にも迫る勢いでどんどんとその差を縮め、結果、間に合わずの3位フィニッシュとはなりましたが、共に伴走していた結城コーチもあまりの前半と後半の漕ぎの違いに驚きを隠せず、この内容をスタートからできれば更に差を縮められていたのではないか、それが二人の見解の一致でもありました。
結果、その答えは実際にやってみなければ分かりません。それでも今日を試漕と位置付けるなら両クルーともそれなりの手応えを感じるものではありました。
明日は互いに敗者復活戦に挑みます。今日の漕ぎの反省を生かし、どれほどタイムを縮め、しっかりと結果を出すか、楽しみながら見守りたいと思います。
今日はシングルスカル、ダブルスカルだけの観戦ではありましたが、結果の記録を見ても以前に感じた壁というより、むしろ確かな手応え、そしてそれを乗り越えていけるだけの可能性を感じた初日でもありました。
もちろん他大学のクルーも今日の結果がすべてではないことでしょう。
レースは水物であり、並べてみて初めて分かることもありますが、勝つということに貪欲に、持てる力をすべて発揮してくれればそれ以上に言うことはありません。
試練となる準々決勝へ向けて、明日、また違うレースを見せてくれることでしょう。
明後日には台風襲来も予想されています。
大会が順調に開催できるかの不安もありますが、我々がやることは常にベストを尽くすのみですから、あとは天に祈ることにしましょう。
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