考えすぎるな、感じるんだ!

近頃の感染者数を見るとまさに第7波に突入したということは容易に想像がつきます。当部も他人事ではなく、その影響、煽りを多少なりとも受けていますが、幸い試験期間中であることから集まっての練習を行わないためリスクも多少ながら回避できそうです。

ついこの間までは猛暑との戦いが課題でしたが、今はまたこうしてコロナ禍の中で、どう感染対策を講じながら通常の練習活動を行なっていくかを問われています。それでも経済活動を止めない世間と同様に感染対策を今まで以上に徹底していくしかないのでしょう。

この週末もすでに試験期間に突入しているため昨日、今日と私自身も久々に練習がなく、予定もない週末を過ごすことができました。こうしてゆっくりした休日を過ごすのはいつ以来だろう、なんて考えながら束の間の休息を満喫させてもらいました。来週末からはまた日曜ワクチンの対応で休日も駆り出されるため本当に貴重な週末でもありました。

それでも土曜には午前の仕事が終わり次第に練習に顔を出し、東日本夏季競漕の結果で課題が浮き彫りになった吉澤になんとか夏の間の修正となるヒントを与えたくて、久々に一緒に乗ることとができました。春先に乗っていたときよりレース経験を重ねることでの成長は大きく見られました。とは言え、結果に結びつかない歯痒い気持ちを吉澤自身が感じているのも見て取れ、そのきっかけ作りになればと思い、練習というよりは、互いの考えや漕ぐということについて、答え合わせをしながら、初心の気持ちを思い出してもらえるような指導をしたつもりです。

彼の今のジレンマは体を使い切れないこと、艇を進める力を伝え切れないことがあげられます。本人にもなぜそうなったか、原因も不明の中、ただただ負のループに陥っていたのでしょう。私自身がそれを外から見て感じたこと、また一緒に乗ることで感じたこと、それらを伝えながらまずはゆっくり艇を進めてみることに注力しました。幸い、この日のコースは他大学も試験中のためか出艇も少なく、コンディションは絶好でした。

こういう時こそボートが進む感覚や、艇、オール、そして自らが一体となっていることを感じることができます。ボートはなぜ進むのか、その原理原則をもう一度思い出して、一歩ずつ一歩ずつ。普段何気なく陸から練習を見ていると多くのクルーが一生懸命漕ぐ姿を目にします。与えれれたメニューや鍛錬のため負荷をかけて、より強く、より速くを求めてひたむきに。でも気持ちよく漕げなければ楽しくない、私はいつもそう思って練習をしていましたから、もう一度、艇が進むことを自らが体感するきっかけ作りを伝えることがこの日の一番の目的でもありました。

また、以前にも触れた通り、当部は通常のウェイトトレーニングではなく、エンコンパスを使用したトレーニングメニューをトレーナーに考案してもらい取り組んでいます。このトレーニングの内容も実に理に適ったもので、その体の使い方そのものがボートにつながるものになるのですが、意識しないとただのウェイトトレーニングと同類になってしまいます。先日のトレーニングではいつも隣にいる鏑木が不在でしたので、他のメンバーの体の動きを改めて間近で確認しましたが、負荷をかけることばかりに注力し、体の正しい使い方そのものが疎かになっているとも感じました。

元来、筋トレが好きなメンバーなので、より重い負荷を動かすことが目的になりがちですが、体を大きく使い、連動させることこそ、このトレーニングで学んでいることなのです。特定の部位だけでなく、そのまわりの筋肉を使い、動けなくなったときに全身で動かしていく、そういうメニューを意図的に組んでくれているわけですから、もう少しその意味を皆で考える必要もあるのでしょう。

そこは私自身が、学生らに負けじと励んでいて、うちにうちに集中していたのも反省すべき点でした。いい歳をして張り合っても仕方ないと思いながらついついムキになるのも悪い癖です。夏合宿という期間にもう一度、自らの課題を見つめ直し、克服しながらフィジカルも高めていく、こうした目的や気づきを与えることも考えていかねばならないのだと思います。

来週はインカレへのラストチャレンジとして鏑木以外のメンバーはエルゴ測定を行う予定です。ここで記録がどうかというより、具体的にこの夏に何を課題として克服していくかを考える機会にしていくことに意味があるのでしょう。たかが一ヶ月、されど一ヶ月。一ヶ月という期間にどういう変化をもたらすか、取り組む前に各々の課題や目標をすり合わせながら開始していこうと思います。

また、ここ数年は公認コーチ研修で学んだロウイングテクニックを基礎の講座として入部して間もない期間に教えています。内容はごくごく当たり前のことなのですが、これはきっとどんなに経験を積み重ねても改めて見返すと実に良い復習機会にもなります。ボート競技には必殺技もスーパープレーもありません。単なる反復運動とこれを織り成すリズム、ピッチで漕ぎ続けることが基本です。だからこそ基本に忠実に、どのような苦しい状況でも継続していくことを追い求めます。

どんなに上達してもこうした基礎を怠ることなく、見返すことできっとヒントが隠されていることでしょうから再度きちんと伝えていこうとも思います。そしてこのロウイングテクニックの教えの中でも多くのことを書いていますが、結局のところシンプル・イズ・ザ・ベストに尽きるということです。テクニックばかりに固執して、考えることばかりに目を向けるのでなく、感じること、それが特に重要なことなのです。

とにもかくにも試験が終われば夏合宿です。今は英気を養い、来るべき時に向けて準備をしていければと思います。今年の夏はどんな変化と成長を見せてくれるのか、大いに期待しながら楽しみに待つことにしましょう。

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