ボート競技の難しさは漕がないこと

先週末、所用があって実家の岡山に帰省をしました。晴れの国と言われるほど、日本で一番の晴天率を誇る県ですが、そんな岡山でも週末は天気が崩れました。これはまぁ全国的な雨模様だったようなので仕方ないですが、それでもこの季節に岡山にいることに懐かしさもありました。

それもあって部活への参加は二週間ぶりとなりました。前回の投稿通り、練習中に伝えるべきことは伝え、意識していることを聞き出そうと土曜日は鏑木、淡路のダブルスカルに、日曜日は鈴木、吉澤のシングルにそれぞれ張り付きました。

ダブルスカルに感じた印象は淡路のエントリーがまったく入っていないことです。本人にその自覚があるのか聞いてみたところ、正解に近づけようと考えていることは分かりましたが、入らない原因を特定させるため、二人のポジションチェンジを再度提案。

エントリーやポジションといった個々の課題を改善しようとするあまり、それ以前のリズムやシンクロする動きがないことで、エントリー自体にも影響を及ぼしていたようなので、ここにきて二人のポジションをもう一度戻すことにしたのです。

おそらくこれまでエントリーを追求することに重きを置き、それが仇となっていたのかもしれません。ですからやるべきことをエントリー、キャッチから一旦切り離し、オフ間の体の動きに戻し、まずは正しいリズムを意識させること、そしてタイミングを掴むことだけに集中させてみたところ日曜には大きな改善を見せてくれました。

陸に上がってそれを確認したところ、当人たちはその実感もなく、今度は水中ドライブが合わないという課題をもっていたようです。そこはやはりこれまで二人が個々に漕いできたツケでもあるのですが、ダブルスカルはそこを埋めていかなければいけません。

そう考えるとまだまだ課題は多いなとも感じますが、それだけ伸びしろも大きくありそうです。本来のもてる力を発揮するためにも考えながら課題を克服することが必要です。時間も限られており、どこまで埋めていけるか、未知な部分はありますが、この経験、そして克服することがきっと大きな意味を持つことになります。

全日本だけでなく、その先を見据えるためにもまずは一つずつクリアしていけばいいのだと思います。なにより、これまでここまで密に会話していくこともなかったため、こうして成長過程に関わっていくことも必要なんだと改めて気付かされもしました。

そしてシングルスカルの鈴木、吉澤も同じように練習中に一度艇を止め、何を課題としているか、またこちらの見たなりの印象を伝え、実践してもらいました。二人に共通しているのはオールで漕いで艇を進めること。表現としては何が間違っているのか、と思われるかもしれませんが、オールを掻き出すその力で艇を進めるように感じるのが特徴なのです。

これはボートでよく見られる漕ぎ方なのですが、体を使って、テコの原理で艇を進めることをしっかりと覚えなければ一向に速くなりません。これが体現できるかが一つの分かれ目にもなるので、それこそ今が本当にその感覚を養うときなのかもしれません。

ストレッチャーをつたって艇と自分が一体となっている状態。これがボート競技の特徴だとすら思っています。もし仮にここがなく、シートやレールもない、そう、公園のボートであれば漕ぐとはオールで掻き出して進むので正しいのかもしれません。

でもこの競技はストレッチャーを介して、シートを使って、脚で進めることができるのです。オールはそのための道具なのですから、水を固定するとはどういうことか、テコの原理と捉えればどうするか、考えれば意外とシンプルなのではないでしょうか。

言うは易し、行うは難しで、確かにオールが水中で動いてしまうが故にその難しさはあるのですが、一生懸命になる際のポイントを間違うとそれは無駄な力に終わります。いかに楽に艇を進めるか、いかに漕がないか、これが究極なのですからもう少し考え方を変えていく必要はありそうとも感じました。

今週は結城コーチも平日に練習に顔を出して指導してくれましたが、初心者と経験者の差は漕いでしまっているといつも口にしてくれていました。まさにそれに尽きるのですが、そこをどう教え、伝えていくか、ここは指導者としての力量が問われますから頑張りどころです。

結城コーチはこの日、うちにないスキニーオールを持参してくれたり、コーチ就任以降、部に積極的に協力支援してくれています。全日本選手権でも大半をお願いすることになると思いますが、本当にその存在が心強く、頼もしくあります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

そして日曜午後は閉鎖の影響もあってエルゴメニューを行いました。メニューは20min漕でしたが、ここでもお花見レガッタのクォドで課題に感じた個々の動きを統一的にしていく一つの方法として4人で合わせて行う方法を用いました。

これはレート指定のメニューというのもあって効果的に使えます。リズムを習得するばかりでなく、後ろに乗ったクルーでどうパフォーマンスを発揮するか、その点も問われます。自分だけが自分勝手に漕ぐのではなく、チームの中で自分の力も発揮する難しさもあります。

これに限らず、練習前のTD、またアップにしても少しずつチームとしての動き、行動を意識させる機会をこれからは増やしていこうとも思います。日々の練習を少しマンネリ化させていたのは自分の工夫のなさもありましたので、これから少しずつの変化や新たな工夫も凝らしていくつもりです。

また来週は三大学対抗戦、そしてGWに戸田レガッタも控えています。これから新入部員の入部などもあってまさにシーズン真っ只中をの忙しさもあるでしょうが、それぞれにとっての成長機会と捉え乗り越えていってもらおうと思います。

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