春の強風が続くこの時期に今朝は久しぶりに見る穏やかなコースコンディションでした。また月曜祝日というのもあって、練習する艇も週末に比べると少なく、こんな日こそ乗艇すべきだったかとコース沿いを歩きながら市立艇庫へと向かいました。
昨年の暮れのエルゴ測定から約3ヶ月。春の合宿を経て、その成果はどうだったか、またこの間のハードエルゴがどう影響しているか、楽しみと不安の入り混じる運命の日。当初はお花見レガッタを終えてからを考えていたものの前倒しをしての実施となりました。
思い起こせばこれまでも当部ではこれまでもこうした記録測定日を設けてはいましたが、これほどまでに定期的に行なってきたわけではなく、今の部員には当面の目標として基準タイムを掲げ、そのための試練も課してきました。
結果はと言うと、2年の鏑木が遂に念願の7分切りを果たし、本人も大喜びとなる記録を出すことができました。これは実に前回から10秒を縮める記録でしたので、この春の期間の成果と言っても過言ではないでしょう。確かにこの春のエルゴスコアを見てもいよいよ7分切りが現実のものとなりそうな印象はあるものの本人にとってはきっと不安はあったことでしょう。
それでも測定中のラップは前半500mを40秒台前半で乗り切り、そこからの維持が前回とは雲泥の差でした。落ちそうで落ちないこの維持力は、これまでの練習の賜物であり、漕ぎ方、体つき、そしてメンタルとも大変頼もしくもありました。
『練習は嘘をつかない』とは恩師に良く言われた言葉ですが、まさにそれを象徴する記録に我が事のように嬉しく感じることができました。そしてもちろんこれは一つの通過点であり、春に3年生となる彼にはまだまだ伸び代を感じます。果たして引退までにどこまで記録を伸ばすのか、今後更に楽しみをもっていたいと思います。
また同じく期待された1年コンビの鈴木、吉澤については残念ながら記録更新はならず現状維持という結果に終わりました。これはまだまだ経験の浅い二人にとって、過酷なエルゴ練習がかえって恐怖心を生み、守りに入ってしまっているような状況も見受けられていたため今後、どのように取り組んでいくかを改めて考えていかねばなりません。
残念ながら記録更新とはならなかったものの鈴木に関しては最後まで漕ぎ切れば確実にレコードは記録されるペースであったこと、また乗艇での成長は著しいため、弱点の克服が喫緊の課題となります。また吉澤に関してもほぼ前回(春合宿前の追試エルゴ時)と同スコアであったわけですが、ここに向かうまでのエルゴを見ても、力をうまく伝えることができていない迷いがあってのものです。こちらも心肺機能の高さはRUNトレで証明済みで、ハイピッチでも漕ぎ切れる体力があるのは明白なため、ペース配分次第もあることでしょう。
いずれにしろ二人にはプレッシャーとなり過ぎていた面も反省しつつ、自身らが自信をもって挑めるという時まで一時休戦としていこうとも考えています。まだまだ伸び盛りにあって、これからという期待の高い二人ですから、きっと今季の終わり頃には同じく7分切りを果たしてくれることでしょう。
これまで私は、時間、距離を求め過ぎず、練習の質を高めて伸ばしていきたい、そんな指導方針を掲げてもきましたが、やはりこうした彼らの成長を目の当たりにし、その考えも少し改めねばならないと最近は気付かされます。
もちろん距離がそのまま漕力につながるとは思いません。ただ、漕ぎこむことで培われるボート競技に必要な筋力、持久力、そしてその技術(ここでは漕ぎ方という意味)は着実に成果となって身に付いています。大学からの4年間で一線級に挑むためには、より最短経路でその舞台に立たせなければなりません。もちろん個人差もありますが、彼らの成長を見ながら、新たなボート観、そして指導者として考えさせられることが多くあります。
また最近は共に練習を一緒にさせていただいている千葉大学さんにも良い影響を与えてもらい、部も、練習も活性化しています。充実の春に、こうした雰囲気の中で迎える新入生は更なる刺激をもたらしてくれることでしょう。今週はいよいよ今季の開幕レースとなるお花見レガッタです。結果だけに囚われず、この先につながる何かをそれぞれが見つけてくれることを期待しながらその日を待ちたいと思います。
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