シリも積もればジャマとなる

さすがに11月ともなると朝晩が冷えてきました。

それでも温暖化の影響からなのか以前に比べてこの時期にしては、まだまだ暖かく、乗艇に際してもロングのTシャツやタイツがなくても出来ているくらいです。

さて、今日は少し、現在の技術面での課題とそれを克服するための方法についてお話しをします。

夏から秋にかけて、レースに向けて基礎を疎かにしたこともあり、あえて見過ごしてきた点があります。

それは表題の言葉通り、シートに座ったままの漕ぎが目につき、本来持っている力すら艇を進めるために効果的に使えていないことです。尻も積もれば艇の推進の邪魔となるのです。

一見、現在のそれぞれの漕ぎを見てもそう悪くないなと思えるものの、よくよく見てると、やはりシートに体重があることで力を使い切れない、艇が進み切らないのが、実はとても目につきます。

これは艇に対してネガティブな力として発生しており、克服が急務であると思っています。

もちろんこれまでも改善を試みてイメージは伝えてきましたが、これを実際に体感させ、実践するための近道として、我々の時代に重宝した旧型と言われるエルゴメーターが必要不可欠でした。

何を今更こんなエルゴをと思いになる方もおられるかもしれません。でもエルゴの中で唯一ハンドルを固定した漕ぎ(力の伝え方)を体感できる実に優れものなのです。

思い起こせば私の現役時代もこれを重用しました。と言うよりエルゴを買える資金力もなかったのと、それ以前にあまり旧式だからどうだと拘りがなかったのも正直あります。

特に私の大学時代に使用していたものはさらに年代物で、レール部分が錆び付いて前に出るにもガラガラ?ザラザラ?した抵抗感が半端なく、明らかにフォワードを阻害する要因でありましたが、それでも記録などより中身が大事だと自分に言い聞かせ、当時は愛用したものです。

一説によれば新型とのタイム比較でも数秒は違うだろうと言われますし、見るからに性能も劣るような代物ですが、まぁエルゴの数字で誰かと比較することもなかったため、私自身はあまり気にもしていませんでした。

とにもかくにもこの時代に誰も使用しなくなったこの旧エルゴですが、今では日本でもだいぶ少なくなっているようでした。

少なくとも私のように重宝する人は当然手放す気もないわけで、方々に聞いてはみましたが、戸田にはもう存在しないのではないかとすら思える状況でした。

そんな最中、先日の社会人選手にも相談したところ広く、関係者へあたってもらった結果、ようやく実物の入手に成功したのです!むしろこんな骨董品を必要な人がいたんだという驚きのリアクションまでされましたが、なんとか譲り受け、今は新しい合宿所に大切に保管してあります。

このエルゴの優れものだと言われる点は、昔から行っているスパナなどの工具を挟むことで、漕ぐ姿勢を維持したまま力の伝え方を知ることができることです。

私自身も高校時代も当然のようにこれを教わり、以前も同様に教えてきました。ですが、本当の意味でのコツは理解していなかったため、これがいかに中途半端だったかを知りました。

少なくともシートに座ったまま漕ぎ続けることは先にも述べたように本当の意味での力の伝え方にはつながらないのです。

ボートはシフトウェイトがより重要な競技だからこそ間違った体重の負荷が艇の進行を阻害しないことも重要です。

そして、こうした間違った漕ぎ(力の伝え方)を早い段階で教えることも必要であり、より理解するための方法として、せっかく手に入れたこの骨董品をこれから最大限に駆使して、伝えていくつもりです。

 

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