バランスと信頼

筆が進まない…なんて言えば小説家のようで聞こえはいいですが、先月あたりから落ちているメンタルはまだ一向に出口が見えません。

部活のことを書こうと思いつつも部員らは遠征中でもあり、その報告も途絶えているので、今、何がどうかの情報も遮断されています。

あまり私の言っていることを理解できていないのかもしれません。

今、部ではこうした問題に確執が生まれかけています。

皆が一生懸命取り組む中で、求めるものへの差が少しずつ互いの信頼関係を壊していってもしまうのです。

もちろんそれを諦めて、投げ出すのは簡単ですが、どうすれば理解し、行動に移せるのか、これは永遠の課題かもしれませんね。

 

さて、今日は少しバランスについて考えてみようと思います。

最近ではスポーツのポジションや仕事での役割としてもバランサーという言葉が使われるようになりましたよね。

それくらい格差社会、SNS時代でコミュニケーションが希薄となる社会、縦割り構造など、ありとあらゆる社会問題の現代だからこそ、こういうポジションが重宝されるんだと思います。

ちなみに、恐らく、私はこのバランサーのような役割を仕事で担っていることが多いです。

これは才能でもなんでもなく、それしかできないからだと思っています。

そんなバランスを取る性質についてはボート競技で学んだのかもしれません。

どんなに速い艇でもバランスが悪いことはストレスであり、悪天候によるコンディション不良の中の乗艇を嫌うのはまったくと言っていいほど気持ちよくないからです。

もちろん試合はどんなコンディションで行われるかは、それこそ時の運だと思いますので、ラフコンを避けてばかりはいられません。

それでもバランスを自らの意思で取れない状態で漕ぎ続けることは練習の質に影響するものだとさえ思っています。(いや、正確には思ってきました)

また青山学院大学ボート部は私自身がそうであったようにスカル種目を主としてこれまで活動してきました。

よって、競技開始から現役引退までほぼ一貫してスカル種目を教えています。

これは不安定な部員数に臨機応変に対応するための策でもあるのですが、それでも今年は少数体制の中でスイープを選択しようとしています。

当の本人たちのやる気、そしてポテンシャルを考えてもこれが最善、最良の策だと信じています。

が、開始して数か月でしょうか。中々思うようにいかず、自身らも歯がゆい思いをしています。

もちろんこれは指導者である私自身も同じ気持ちで、正解が見つからないというより、理屈は述べられても実践することの難しさを感じています。

これが4人乗り、8人乗りであれば多少は誤魔化しがきくのでしょうけど、ペアともなるとそうはいかない現実を突きつけられてもいます。

最近は特にSBS(スモールボートセレクション)が間近に迫っているということもあって、コースではペア艇を多く見かけますが、なぜそのように悠々とバランスを取りながら漕げるのか不思議にすら思えます。

きっと自分自身は艇に乗ってしまえば恐らくなんなく漕げるのだと思います。

ただ、それをうまく伝える術を知りません。

恐らく、これまで取り組んできたスカル種目はある一定の期間さえ漕いでいれば、なんとなくバランスを考えずとも誤魔化しがきいてバランスを取れていたのかもしれません。

ですから私もこれまでバランス意識をあまり教えたり、触れてこなかったのでしょう。

ただ、彼らのテクニックとしてフェザーターンの返しの遅さや水中フェザー気味の技術を思い返してみれば、やはりフェザーという一つの手法を間違ったかたちで会得していたことを改めて感じます。

フェザー自体はバランスを取るものではなく、フォワード中のブレードの空気抵抗を少なくするための手法であり、それ以外の目的を感じません。

ですが、フェザーを覚えてしまうことで、バランスを取った気になる、フィニッシュ時に漕ぎ切った感触になる、この錯覚がすべてを狂わせていたのだとも思います。

今改めて気づいたのはある方の指導する方法に実際に触れ、漕いでみるとそれをより実感したからです。

今の日本?世界?のスカルテクニックの多くはクロスオーバーさせる技術が主流になっています。

だからこそハイト差が生まれ、シンメトリーになることもありません。

それによって、エントリー時もフィニッシュ時も必ず左右差が生まれます。むしろこの影響を最小限に抑えることがテクニックとして求められています。

でもクロスオーバーしない手法というのを肌で感じ、本来の漕ぎとして無駄となる動きを改めて知ることができました。

これは実はバランスにも言えます。

普段、私は完全にハンドルを重ねてセットからフォワードへ進んでいくタイプなので、これを癖づけてハンドルに体重を預ける動作を身に着けました。

ただ、この重ねない手法ではバランスのとり方がまったく異なります。いわゆるボート本来のやじろべえを実践できなければバランスを取ることができません。

そういう意味でも本当の意味でのバランスを考えてこなかった私も、それを教えてこなかったことにも理由があり、それが現在の問題の根幹にあるのだと思います。

そんな今、私がバランスを最重要視しています。

現代を生きる上でも、ボートを教える意味でもです。

先に述べたバランサーに求められる要素に一歩引いて物事をよく見ること。誰にも褒められないでいいという覚悟などが挙げられています。

己自身の欲があればこの役は務まりません。そういう意味でも今の私にはこれくらいで丁度いいとすら思えます。

ボートでも同じです。自分の漕ぎや優先すべき事項ばかりにとらわれず、一歩引いて今起こっていることを冷静に見てみることこそ必要なのかもしれませんね。

先日、バランステクニックの一つの手法としてスイープによるアウトハンドの重要性について改めて教えました。

あの重いスイープオールを支えるクラッチ。でもだからこそブレードをコントロールするために最小限の力で取り扱えるのがアウトハンドです。

物事の本質や自然の摂理など、改めて考えれば何事にもヒントは隠されています。

もちろんこの教えが正しいかどうかは人によるものと思います。

でもこうしたヒントを得て、改めてバランスの極意を考えてほしいのです。

そしてそれはボート競技のみならず、さらに視野を広げて、今、あなたたちは何を求められているのかを。

互いの信頼。これも私が教えたいことの一つです。

信頼を得るための行動を参考までにいくつか挙げます。

・約束を守る
・何気ない会話を大事にする
・相手の気持ちや感情に配慮できる
・行動と発言が常に一致している
・周囲への感謝を口にしている
・他人の悪口を言ったり噂話をしない

バランスと信頼。どちらもこれから先、生きていくうえで必要なことだと私は思います。

遠征から帰ってくればゆっくり話をしたいと思います。

この遠征を経て、また一つ成長してくれることを願って。

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